粘り強さの中にも宿るもの ~河川実習より~
5月23日と24日、3年生2クラスがそれぞれ河川実習を行いました。理科の授業で河川のつくりや水質を学んだ後に、実際の川に出かけて河川調査と生物採集を行う実習です。
行き先は、学校バスで30分ほどの位置にある地点で、里山と水田が広がるのどかな所です。古い街道だったのでしょう、いかにも古風な橋が架かっています。環境を学ぶ実習ですから、この美しい景観にも目をとめてほしいものですが…。
実習では、チームごとに担当する調査地に分かれ、水温と流速の測定、CODテストによる水質検査、川の断面スケッチ、そしてそれぞれが手にしたザルを使っての動物捕獲調査を行います。
この日、河川実習に同行するため高校3年生の授業を少し早く終了しました。これから河川実習に行くからと言えば、高校3年生たちはいっせいに顔をゆるめて「もうそんな季節かあ」との声。
彼たちにとっても、3年前の河川実習の強い印象と懐かしさが焼きついているのでしょう。表情から、当日の青い空、すがすがしい森の緑と水の色が思い出されれているように感じました。
1時間あまりの間に、どのチームも20~30種ほどの河川動物を見つけました。水生昆虫や貝類、魚類などの種名は生物教師が正確に判定し、生徒全員が名前を記録します。自然の川がもつ豊かな生物相と生物たちの様々な姿=多様性を実感させることが目的です。自分が捕らえた小さな昆虫に長い種名が告げられると、最初は渋っていた生徒でも嬉しそうな表情で、あらためて虫の姿を見つめます。
今年は、去年に比べて見つかった動物種数が半分ほど。川や水に大きな変化があったわけではないのに、魚類もカゲロウ類もはるかに少ない種数でした。なぜだろう、上流で何か異変があったのだろうか、教室へ戻ってからのまとめの話し合いでは、そんなことが話題になりました。
毎年の高校卒業生には、森林環境系や生物学系の大学に進学する生徒が数多くいます。彼らの粘り強い学習姿勢の中に、川の水の気持ちよさやあの緑の美しさが多少は宿っている… と、少なからず思っています。(教員 YH)